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Essay

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新宮の海岸を走っている時に大地震が起きていたら。

テレビや新聞が無い時代なら、大阪に住んでいる私には
東北地方のあの惨状を知る由もないし、想像もできなかっただろう。

なぜ彼/彼女の命が何の躊躇もなく奪われるのか。
災害、不治の病、不慮の事故で知人を失うたびにそう思う。
その人選には明確な基準や意味がある筈もなく、
どんなに前向きに生きていようが、健康に配慮していようが、
突然、理不尽に人を絶望の淵へ突き落とす。
今こうして生きていることは考えつかないくらい沢山の偶然の上に
成り立っている奇跡だろう。

当たり前のことだが命の長さは平等ではない。
誰もが絶壁に向かって猛スピードで走る電車に乗っているというのに
そんなことを考えることなく日々過ごしている。
いつ絶壁が現れても後悔しないよう充実した今を生きたいと思うが
人生において、するべき事としたい事はイコールとは限らないので
実際にはなかなかそう思い通りにはいかない。

死について普段考えない私が最近、特に演奏をしている時に
「自分が生かされている」ということを強く意識する。
決して、亡くなった方の上に自分が存在するという意味でも
亡くなった方から教わるという不謹慎な意味でもない。
ただいつもより少し姿勢を正して毎日を過ごしている。
そうすることが精一杯というのが正直なところだ。

合掌
by Tetsuro_Aratama | 2011-04-03 09:37

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