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Essay

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猫背

難波を散歩するのは何年ぶりだろう。
ぽっかりと空き時間ができたので久々にNGK界隈を歩いてみた。
街並みに溶け込むようにのんびり歩くと、温泉に浸かっているように体から余計な力が抜けていく。
やっぱりミナミはいいなぁ。雑然とした中に何か沸々としたエネルギーを感じる。

細い路地を選んで歩いていると、目の前をホームレス風おっちゃんの乗った自転車が横切った。
その後姿を目で追うと、なんとその背中に黒猫が立ち乗りしているじゃ、あ~りませんか(笑)。
その微笑ましい光景に思わず笑みがこぼれた。

それで思い出したのだが、数年前にのどかな田舎道を運転していた時のこと。
横断歩道の信号待ちをしている人の中に、柴犬をおんぶしたおじいさんを発見!
しかも二人(?)とも前方の赤信号をじっと見たままピクリともしない。
ツアー中だった車中はその光景にえらく盛り上がった。

おっちゃんと黒猫
おじいさんと柴犬

言葉は通じなくても温かい絆で結ばれている。
だが私達の周りでは最も強いつながりである筈の肉親との絆が薄れ、
ほぼ毎日のように親が子を、子が親をあやめる痛ましい事件が起こっている。
特に被害者が幼児だった場合は言葉も出ないほど辛い気持ちにさせられる。
虐待を受けても、無条件に親を信じたい気持ちがあるから逃げ出すことも思いつかない。
本当に辛く感じるのは、そんな「きょうちゅう」というものが何か分からない幼さに対して、だ。

人間は動物のことを畜生と蔑んで呼ぶが一体どちらが畜生なのだろう。
猫がおっちゃんの背中に乗る情景を想像しながらそんなことを考えた。
by Tetsuro_Aratama | 2007-04-13 08:23

ベーシスト・荒玉哲郎のエッセイ


by Tetsuro_Aratama