人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Essay

aratamat.exblog.jp
ブログトップ

鹿の解体

※鹿の解体に伴う刺激的な描写・画像があります。
 動物の解体を残酷と思われる方はご覧にならないで下さい。


友人と鹿を解体した。

猟師が三日前に仕留め、内臓を抜き、川に浸けてあった鹿を引き揚げるところから
解体の作業は始まる。この時期の鹿はまだ痩せている。
鹿の解体_f0065517_1151864.jpg

まず左後足を吊るす。
全体を水洗いして蚤を取り、膝の皮に一周切り目を入れ
内腿部分から後足の膝に向かって一直線に皮を切り裂く。
鹿の解体_f0065517_116944.jpg

そして後足の膝の皮をめくり背中に向かって力を込めて引っ張り、
ナイフで身と皮の間の薄い膜を切りながら剥がしていく。
鹿の解体_f0065517_1154477.jpg

続いて前足~首の付け根までの皮を剥ぐと全身の皮が外れ、
肉と骨だけがぶら下がった状態になる。皮は意外と重い。
鹿の解体_f0065517_1163057.jpg
鹿の解体_f0065517_1172932.jpg

それから斧で首を刎ね、ナイフで前足を切断。
猟犬が噛み付いた部分は赤く変色して食べられないので捨てる。

背中のヒレ肉は特に慎重にナイフを入れ、最後に後足を切断。
まな板の上で足の肉を骨から外すと解体は終了。
鹿の解体_f0065517_117174.jpg

早速鹿肉の刺身とフライを食べる。
鹿肉は臭いと敬遠する人もいるが、それは仕留める際に
膀胱を傷つけてしまった場合で、本来臭みは無く、とても美味しい。

また刺身にするヒレ肉は2~3日寝かした方が良く、
新鮮すぎると鉄分が多いために中(あた)る場合もあるらしい。
生レバーのように胡麻油に浸けても美味しい。

* * * * * * * * * * * * * * * * *

鹿の解体に行くことを言うと「そんな残酷な人間に、繊細な音楽なんて
できる筈がない」と非難する人もいたが、実際に「食べるための解体」
をしていると、神聖な気持ちになっている自分に気付いた。
その考え方も人間の驕りかもしれない。
だがその日以来、食事の時に言っていた儀礼的な「いただきます」の言葉に
心から感謝の気持ちを込めるようになった。
by Tetsuro_Aratama | 2011-05-13 11:23 | 趣味

ベーシスト・荒玉哲郎のエッセイ


by Tetsuro_Aratama