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Essay

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2006年書き忘れ―その①小豆島(9/2)

小豆島の清見寺で毎年「テンプル・ジャズ」というイベントが催される。
今年は古谷充さん、祖田修さん、佐藤英宜さんと私、それに地元の音楽家が出演した。

この小豆島に行く道中、なぜかハプニングがよく起こる。
数年前のことだが私はフェリーの出航時間を遅らせてしまったことがある。
その日、私は小豆島行きフェリーが待つ日生港へと車を飛ばしていた。
しかし自宅から日生港までの所要時間を勘違いしてしまったため、どんなに急いでも
出航時間に間に合いそうもない。
これに乗り遅れると次の便は二時間後までない。
慌ててリーダーの奥田章三さんに電話すると「とにかく急げ!」ということなので
高速を降りてからも猛スピードで地道を走るが、出航時刻は過ぎている。
必死の思いで日生港に着くと、出航したばかりのフェリーの甲板で
みんなが爆笑しながら私にハンカチを振っている…そんな光景が頭に浮かんだ。

信号で停まるたびに「もうダメか」と思っていると、奥田さんからの電話。
「今どこ?」「海が見えてきました」
するとおそらく船員さんと話をしているのだろう、「もう海沿いの道らしいので
もう少しだけ待ってもらえませんか」という声が聞こえる。
やがてフェリーが視界に入ってきて、とうとう手を振る奥田さんと笑顔が見えた。

間に合った…

自分勝手な感激に浸りながら船内に車を放り込み客室に上がったが、他のお客さんの
冷たい視線をひしひしと感じ、本当に申し訳なく思った。
今でも小豆島に行くフェリーの中でからかわれる出来事だ。

そして今年。
佐藤君と私が祖田さんの車に便乗して小豆島に行くことになった。
朝、待ち合わせ場所に向かっていると、遠くに祖田さんの車が停車しているのが見えた。
だがボンネットから煙がもくもくと上がっている。
一瞬自分の目を疑ったが、間違いない。
どうやらエンジンを切ってもう一度かけようとした瞬間、突然冷却水が流れ出し
ボンネットから水蒸気が噴き出したらしい。

これは困ったことになったと思ったが、そこからの対応は素早かった。
すぐにレンタカーを手配し機材を積み替え、JAFに車のレッカー移動を依頼して出発。
当初予定していた姫路港発の便には間に合わないので、日生港発フェリーの時刻を
調べてみたが、結局姫路港から一本遅れの便に乗るのが最善とわかった。

演奏前にすでに一仕事終えた感じだったが、小豆島に着くや否や保育園で昼公演があり、
終了後すぐに清見寺に移動して夜のライブのセッティング&サウンドチェック、そして
地元の音楽家とのリハーサルが全て終了し、やっと終わった…と思ったらこれからが本番。
うーん、長い一日だ。

夜のライブも無事終わり、打ち上げの席に出されたのが写真の氷。
何の変哲もない氷だが、実は南極で採掘された一千年前の氷だ。
水を注ぐと太古の空気がはじける音が聞こえた。
2006年書き忘れ―その①小豆島(9/2)_f0065517_212556.jpg

by Tetsuro_Aratama | 2007-01-28 02:55 | 06年書き忘れ

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