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Essay

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小豆島の清見寺で毎年「テンプル・ジャズ」というイベントが催される。
今年は古谷充さん、祖田修さん、佐藤英宜さんと私、それに地元の音楽家が出演した。

この小豆島に行く道中、なぜかハプニングがよく起こる。
数年前のことだが私はフェリーの出航時間を遅らせてしまったことがある。
その日、私は小豆島行きフェリーが待つ日生港へと車を飛ばしていた。
しかし自宅から日生港までの所要時間を勘違いしてしまったため、どんなに急いでも
出航時間に間に合いそうもない。
これに乗り遅れると次の便は二時間後までない。
慌ててリーダーの奥田章三さんに電話すると「とにかく急げ!」ということなので
高速を降りてからも猛スピードで地道を走るが、出航時刻は過ぎている。
必死の思いで日生港に着くと、出航したばかりのフェリーの甲板で
みんなが爆笑しながら私にハンカチを振っている…そんな光景が頭に浮かんだ。

信号で停まるたびに「もうダメか」と思っていると、奥田さんからの電話。
「今どこ?」「海が見えてきました」
するとおそらく船員さんと話をしているのだろう、「もう海沿いの道らしいので
もう少しだけ待ってもらえませんか」という声が聞こえる。
やがてフェリーが視界に入ってきて、とうとう手を振る奥田さんと笑顔が見えた。

間に合った…

自分勝手な感激に浸りながら船内に車を放り込み客室に上がったが、他のお客さんの
冷たい視線をひしひしと感じ、本当に申し訳なく思った。
今でも小豆島に行くフェリーの中でからかわれる出来事だ。

そして今年。
佐藤君と私が祖田さんの車に便乗して小豆島に行くことになった。
朝、待ち合わせ場所に向かっていると、遠くに祖田さんの車が停車しているのが見えた。
だがボンネットから煙がもくもくと上がっている。
一瞬自分の目を疑ったが、間違いない。
どうやらエンジンを切ってもう一度かけようとした瞬間、突然冷却水が流れ出し
ボンネットから水蒸気が噴き出したらしい。

これは困ったことになったと思ったが、そこからの対応は素早かった。
すぐにレンタカーを手配し機材を積み替え、JAFに車のレッカー移動を依頼して出発。
当初予定していた姫路港発の便には間に合わないので、日生港発フェリーの時刻を
調べてみたが、結局姫路港から一本遅れの便に乗るのが最善とわかった。

演奏前にすでに一仕事終えた感じだったが、小豆島に着くや否や保育園で昼公演があり、
終了後すぐに清見寺に移動して夜のライブのセッティング&サウンドチェック、そして
地元の音楽家とのリハーサルが全て終了し、やっと終わった…と思ったらこれからが本番。
うーん、長い一日だ。

夜のライブも無事終わり、打ち上げの席に出されたのが写真の氷。
何の変哲もない氷だが、実は南極で採掘された一千年前の氷だ。
水を注ぐと太古の空気がはじける音が聞こえた。
2006年書き忘れ―その①小豆島(9/2)_f0065517_212556.jpg

# by Tetsuro_Aratama | 2007-01-28 02:55 | 06年書き忘れ

リリアナ・エレーロ

私には数ヶ月前から楽しみにしていることがある。
それはアルゼンチンの歌手リリアナ・エレーロの初来日ライブだ。
彼女は日本ではほとんど知られていないが既に10枚以上のCDをリリースしている。
私は初めて聞いたときの衝撃が今でも忘れられない。
魂を揺さぶられるというか…とても言葉では表現できない歌声。
あと数日で彼女に会えると思うと胸が高鳴る。

詳細⇒http://tanimon.com.ar/liliana_site/index.html
# by Tetsuro_Aratama | 2006-10-04 08:50 | 音楽

収穫祭・バジル

収穫祭・バジル_f0065517_9424532.jpg

今春、数種類の野菜とハーブを植えました。
園芸を始めてみると奥が深く、赤玉や腐葉土等の土の配合比率に始まり、
肥料の種類とその効果、挿し芽や摘心等による殖やし方、害虫の駆除方法に至るまで、
凄い勢いでハマってしまいました。

写真は今年収穫した大量のバジル。
これに松の実・パセリ・ニンニク・オリーブオイルをミキサーにかけてバジルペーストを作り、
それをたっぷりと使ったジェノベーゼの美味しかったこと!(^~^)
# by Tetsuro_Aratama | 2006-08-19 09:42 | 趣味

「今」―海辺にて―

「今」―海辺にて―_f0065517_1724940.jpg

今日は大好きな日本海に遊びに来ています。
波の音、蝉の声しか聞こえない至福の時間。
夜は海の幸を食べまくるのだ~!(=^▽^=)
# by Tetsuro_Aratama | 2006-08-03 17:24 |
●7/19日(火)

 私・舳松氏・綾部さんは関西国際空港発・エアカナダ便でブエノスアイレスに向かう。
バンクーバー、トロント経由で約30時間の長旅だ。
 これだけ時間があると何をしようか迷うところだが、睡眠不足が続いていた私にとって
思う存分眠れることもこの旅行の楽しみの一つだった。
 機内では映画を観たり将棋新聞を読んだりして時間を潰していたが、隣の綾部さんは
すっかり趣味になったというスペイン語の勉強に余念がない。
 私は敢えてスペイン語の予習をしていなかったが、人前で演奏する以上自己紹介くらい
できないと…と思い直し、友人が貸してくれたスペイン語の本を読むことにした。

 カナダの入国審査は非常に厳しかったが、中でもバンドネオンに関しては東洋人が
持っているのが珍しいのか、ケースから出して細部にまで厳重なチェックを受けていた。
アルゼンチン入国時はケースを見るなり「タンゴ演奏者か?」と訊かれる程だったが。
 カナダ国内の機内はかなり涼しくフリースを着ていて丁度良いくらいだ。
 しかしあれほど楽しみにしていた睡眠も狭いエコノミー席では熟睡できるわけがなく、
同じ姿勢が続いたせいか徐々に腰が痛くなり始めた。

 トロント空港のロビーで東京発の小川さんと合流し、交代で荷物番をしながら
免税店を覘いたりして待ち時間をつぶすが、搭乗時刻になっても手続きが始まらない。
 理由は分からないがこういうことはよくあるらしい。
 しばらく待っているとゲートが開いたので、搭乗して席に着くと…狭い。
座席と前席の背もたれの間に体がすっぽり納まる感じで、身動きが殆どできない。
この状態で11時間も座っているのかと思うとげんなりしたが、もう真夜中だったので
気持ちを切り替えて寝ることにした。
 睡眠グッズを取り揃えていたので入眠は速いが腰痛で目が覚めてしまう。
姿勢を変えて眠り直すが、今度は近くの赤ん坊の泣き声に起こされる。
 この最終フライトで朝まで熟睡できればジェットラグの心配はないと思っていたのに
なかなか思うようにいかないものだ。

 ◇関西国際空港(16:30)→バンクーバー(10:00) 所要時間9:30
 ◇バンクーバー(13:30)→トロント(20:55) 所要時間4:25
 ◇トロント(23:55)→ブエノスアイレス(12:10) 所要時間11:15

●7/20日(水)

 朝。眼下にアンデスの山岳地帯が広がる。
広大な草原地に点在する民家を線のように細い道が結んでいる。
この赤茶色の線がブエノスまで繋がっているかと思うと気持ちが昂ってくるのを感じた。
 正午に空港に到着。気温は約10℃、やや肌寒いくらいだ。
こちらでお世話になる谷口さん、長男リオネル君、次男アリエル君が迎えに来てくれた。
リオネル君は日本語を、アリエル君は英語を話せるのですぐに仲良くなった。
 ホテルに到着するとペソに換金し、近くのカフェで谷口さんに最近のブエノスのお話を伺う。
それによると02年にアルゼンチンの為替制度が変動相場制になり、現在物価は日本の
約三分の一ということ。これは嬉しい。
 ホテルの戻ると早速必要な物をスーパーに買いに行き、久々に大の字になって寝る。

 夜はタンゴの演奏を聴きに老舗『ビエホ・アルマセン』に出かける。
こちらでは夕食の時間が遅く午後8時頃になってようやくレストランがオープンする。
到着すると演奏会場の向かいの建物で楽しみにしていたアルゼンチン料理をいただく。
 噂には聞いていたがアサード(牛肉ステーキ)の大きさに驚いた。
巨大でしかも分厚く、脂身のない赤身の肉なのに信じられないくらいジューシーで美味しい。
完食できた自分にも驚いた。
 だがそれよりも驚いたのはデザートに出てきたドルセ・デ・レーチェだ。
コンデンスミルクのキャラメル味のようなもので非常に甘く、それがただでさえ甘いケーキに
たっぷりとかけてある。甘いものは苦手ではないのだがこれには参った。

 食事が終わるといよいよ演奏会場に移動する。
やや年配のタンゴ楽団とフォルクローレ楽団が出演していた。
 生まれて初めて聴く生のフォルクローレは衝撃的で、ボンボの生命感溢れるリズムと
チャランゴのソロ演奏に感動すると、ようやくアルゼンチンに来た実感が湧いてきた。

 ◇滞在ホテル Hotel Bel Air http://www.hotelbelair.com.ar/
 ◇両替はUS1ドル=2.7~2.8ペソ
 ◇タンゴ鑑賞の料金は食事とホテルからの送迎バス付きで約6000円。
 ◆『ビエホ・アルマセン』の食事風景
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 ◆『ビエホ・アルマセン』で記念写真(右から舳松氏・綾部さん・小川さん・私)
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●7/21日(木)

 今日は滞在中に一度だけのリハーサル日だ。
しかも二時間しかないのでこちらで借りることになった楽器と仲良くなることが私の課題だ。
 コントラバスは楽器によって弦高・弦長・ネックの太さ・ボディの形などが微妙に違うため
他人の楽器を弾く場合はどうしても違和感を感じてしまう。
 演奏会に参加して下さることになったバイオリンの古橋さんと共にリハーサルを行った。

 リハーサル後、レストラン『アニバル・トロイロ』で昼食をとる。
壁にはトロイロさんにゆかりのある絵や写真が飾ってありとてもいい雰囲気のお店だった。
 そこでお手洗いの行った時のこと。
二つのドアには「DAMAS」「CABALLEROS」と書かれてあるのみで、絵や色分けがないため
どちらが男性用なのか分からない。
席に戻って尋ねたらいいのだがそれも何となく格好悪い。
 しばらく考え込んでいると「CABALLEROS」のドアから男性客が出て来たので救われたが、
こんな簡単な言葉さえ分からない不自由さを実感した。

 午後は舳松氏、小川さんとフロリダ通りを散策する。
そこはブティック、宝石店、革製品やガウチョ関連の民芸品等のお店が軒を連ねている
賑やかなショッピング街で、道端では時折タンゴのパフォーマンスも行われていた。
 いろんなお店に入ったがCDショップの品揃えは素晴らしく、日本では手に入らないタンゴ・
フォルクローレのCDやブラジル音楽のDVDが大量にありどれを買うか迷う程だった。

 夜は舳松氏に『ラ・エスタンシア』という肉料理専門店に招待していただく。
店頭では豪快な肉の塊を串に刺し、床にこんもりと盛った炭火で炙り焼きをしており
見ただけで食欲が湧いてきた。
 早速アサードと赤ワインを注文する。
こちらの赤ワインはマルベックという葡萄が一般的で、その産地アンデス山脈の昼夜の
温度差が激しいため糖度が高く、その上農薬を使わないため美味しいワインができるそうだ。
 だが国内のワイン消費量は年々下がっており、他のアルコール飲料に押されている日本
国内の日本酒と状況が似ている。
 アサードで満腹になるとまたしてもあのドルセ・デ・レーチェと再会する。
だがあの強烈な甘さも今となってはブエノスの恋しい想い出の一つだ。

 帰りにタクシーに乗り込もうとすると突然現れた少女がタクシーの扉を開けてくれた。
ストリートチルドレンだ。ブエノスでは子供達が道端で物乞いをしたり、車が信号待ちする
度にお手玉のような簡単な芸を見せてお金をねだったりする光景をよく見かける。
その殆どが非就学児で、この国がどうなるのか本当に心配だとリオネル君は話していた。
 その少女も小銭を渡すとさっと消えてしまった。

 ◆リハーサル風景
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 ◆ダニエル・ファラスカさんにお借りした楽器
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 ◆リハーサルスタジオの入口と廊下
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 ◆『アニバル・トロイロ』の壁
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 ◆『ラ・エスタンシア』のアサードとドルセ・デ・レーチェ
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●7/22(金)

 実はアルゼンチンには演奏以外にもう一つの目的があった。
出国直前にチョー・ユンソン君という素晴らしい韓国人ピアニストと演奏する機会があり、
彼に今度アルゼンチンに行くことを話すと「ブエノスに私の両親と姉が住んでいるので
もし時間があれば姉にベースを教えて欲しい」と言われていたのだ。
 ご両親宅に電話をかけるとユンソン君から私のことを聞いていたらしくすぐに話が通じた。
後日会う約束をして電話を切ったが、この出会いが私のアルゼンチンでの経験に大きな
影響を与えるとは思ってもみなかった。

 今日はいよいよコンサートの初日。場所は大統領府内の特設会場だ。
少し早めにホテルに迎えに来てもらい、大統領府内を見学させていただくことになった。
地下には異変時の脱出に使われたというトンネルがあり大砲が備えられていた。
 リハーサル後、本番まで控え室で待機していると強烈な睡魔がやってきた。
時差ぼけにならないよう飛行機の中でも睡眠時刻に注意を払っていたつもりだったが、
滞在中は毎夕6時頃になると必ず眠くなり困った。

 アリエル君の司会でコンサートが開演。
会場には観客が入りきれず外の通路に椅子を並べて聴いて頂くほどの盛況ぶりだ。
一曲終わるたびに湧き上がる声援に勇気付けられるように演奏すると、終演後に
たくさんの人が「おめでとう!良かった」と声をかけてくれた。
 ホテルに戻りレストランで初日の成功を祝った。

 ◆大統領府外観
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 ◆演奏会場
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 ◆大統領府内
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 ◆地下トンネルとそれに繋がる広場
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 ◆みんなから写真撮影を頼まれた状態で電話を受けるリオネル君
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 ◆司会をしてくれたアリエル君
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# by Tetsuro_Aratama | 2006-04-08 12:40 | 海外ツアー

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by Tetsuro_Aratama